最近はAIがニュースに登場しない日がありません。日本政府もG7の広島サミットでAIの規制アプローチとしてアジャイルガバナンスを明記することに成功する等、世界のAI政策のリーダーとなるべく力を入れています。京都では10月8日から10月12日まで国連によるインターネットガバナンスフォーラム(IGF)が開催され、ここでもAIがトピックの一つとして取り上げられました。(IGFの様子はYoutubeで全て公開されていますので、ご関心のある方はこちらからご参照ください。)
今回のblogでは、日本の法律とAIの接点をまとめてみたいと思います。
日本の法律には、まだAIだけを取り締まる法律は見当たりません。各分野別法でAIと関係する領域について適宜ルールを定めています。経産省の資料等を見るとまだ発展途上の技術のため、「ソフトロー」アプローチと呼ばれる法律を定めない形での緩やかな規制を目指していることが示されています。事業者としては、法律で定められている規制内容を確認し、まずはその範囲でコンプライアンス対応を行うというアプローチを取るということになりそうです。
日本の法律でAIと接点がある主な法律には、次の法律があります。
• 著作権法
• 個人情報保護法
• 競争法(独占禁止法)
(その他、製造物責任に関する法律や契約、刑法等も関係しますが、ここでは割愛します。)
さらに、AIについては経産省が中心となってルール作りを整備しており、今年度中に経産省、総務省が合同でAIガバナンスについてのガイダンスを出す予定のようです。こちらも内容を確認して必要に応じて参照する必要が出てきそうです。
著作権法
著作権法については文化庁が「AIと著作権」というわかりやすい資料を公開しています。日本の法律では、スクレーピングによるweb上のデータ収集、作成した学習データセットを公開することについて著作者の許諾を取ることは実質的に不可能という現実的な立場から、著作権法第30条4項を新たに設け、一定の条件のもとであれば(著作物に表現された思想または感情の教授を目的としない利用行為)、AI開発のための情報解析等で著作物を利用することについて、原則著作者の許諾を免除するとしています。これによってAI開発、学習段階での著作物の利用は比較的容易にはなりましたが、とはいえ無条件に利用できるわけではないので、慎重な判断が必要です。
個人情報保護委員会は2023年6月に「生成AIサービス利用に関する注意喚起等」という文書を公表し、生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、特定した利用目的の範囲内で行うこと、生成Aiが不正確な情報を出力するリスクを踏まえた上で利用することといった点を指摘しています。
公正取引委員会が2021年3月に「デジタル市場における競争政策に関する研究会報告書」を出しており、ここで対応の方針を整理しています。基本的には既存の独占禁止法の適用を軸としつつ、ランキング操作やパーソナライゼーションといった新たな課題については自社優遇の監視や消費者の差別的取り扱いの禁止といった対応の必要性が指摘されています。また、データの寡占による競争阻害が発生していないか監視する必要性についても指摘されています。
消費者庁は「AI活用ハンドブック」を公表し消費者に対する注意喚起を行っています。法律としての規制ではなく消費者への注意喚起という形をとっていますが、「消費者ホットライン」を通じて一定の規制が行われる可能性があります。
以上、簡単にですが日本の法律とAIとの接点について紹介しました。
AIについての法律はまだ多くないため、まずは定められている法律のうち遵守できるものは確実に遵守することが大切です。それと同時にまだまだ活発に議論が行われている分野なので、政府刊行物のモニタリングや諸外国の動向を注意してモニタリングすることが必要です。特に米国では雇用の文脈での規制が制定される等の動きもありますので、グローバルでAIを活用するときには、国外の法律にも配慮する必要がありそうです。
2009年に設立されたアリババクラウドは ( www.alibabacloud.com )、アリババグループのデジタルテクノロジーとインテリジェンスの中枢です。アリババクラウドは、エラスティックコンピューティング、データベース、ストレージ、ネットワーク仮想化サービス、大規模コンピューティング、セキュリティ、管理およびアプリケーションサービス、ビッグデータ分析、機械学習プラットフォーム、IoTサービスなど、あらゆるクラウドサービスを世界中のお客様に提供しています。IDCの調査でアリババクラウドは2018年以降、Infrastructure as a Service(IaaS)分野で世界3位のサービスプロバイダーに認定されています。また、ガートナーには、アリババクラウドは2018年以降、売上高で世界3位、アジア太平洋地域で1位のIaaSプロバイダーとして認定されています。
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